前回トレーニングの歴史について書きましたが、今回はパーソナルトレーニングの歴史について書いていきます。
パーソナルトレーニングとは
まずパーソナルトレーニングとはトレーナーとクライアントがマンツーマンでトレーニングの指導を受けられることを差し、自己流などによるトレーニング効果より理論的で目的に沿ったトレーニング種目、回数、量、頻度などを細かく設定する為、効果が得やすく老若男女関係なく幅広い支持を得ています。トレーニングの歴史でも書いたようにパーソナルトレーニングはスポーツ選手などプロのアスリートを対象としたものから始まり15年程前まではプロアスリート&富裕層どまりという現状でした。一般的なものに近づき出したのは2000年代後半の藤原紀子さん達による加圧トレーニングを自ら宣伝して頂いた活動や2010年代前半のライザップさんの広告活動が大きな影響を与えています。得にライザップさんはそれまでフィットネス業界があまり行なってこなかったテレビCMなどを中心に圧倒的な宣伝広告費(その分セッション料が異常に高額)をかけパーソナルトレーニングを世に広める!という結果にコミットをして頂けました。
ただ本来のパーソナルトレーニングの形は運動をする方のサポートを行うわけですから、体の仕組みや運動における豊富な知識と技術が要求される特別な存在だったわけです。そんなパーソナルトレーナーの形が壊れてきた頃もライザップさんなどの大手パーソナルトレーニングジムが出現し始めてきた頃から始まりました。要は知識、経験、技術のない1〜2ヶ月で養成されたトレーナーの割合が圧倒的に多くなったという事です。以前は大学や専門学校などで勉強し、現場を数年経験してNSCAやACSMなどのワールドワイドな資格や健康運動指導士などの国家資格がないと認められないどころか鼻で笑われていました。
そんな中でも知識の乏しいトレーナーはいましたが全体の2〜3割程度くらいと把握しています。それが2010年代からはまともなトレーナーと単にトレーニングしている横でついているトレーナーの割合が逆転しているように見受けられます。
パーソナルトレーナー選びにはパーソナルトレーニングとは?選び方によってこれだけ違う!を参考に慎重に選んでみてくださいね。そしてコロナ禍の現在も勢いを増しながらパーソナルトレーニングジムは増え続けています。そのパーソナルトレーニングの歴史を知り、今後どのような流れになるかを考察する為に今までパーソナルトレーニングにはどのような歴史があるのかを下記より見ていきます。
20世紀までのパーソナルトレーニングの歴史
トレーニングについてはトレーニングの歴史で述べたように一番古くは紀元前2500年前あたりにトレーニングが行われていたという記録がありますがパーソナルトレーニングというシステムになりますとアメリカで1980年代あたりから個別のトレーニング指導を有料で行うシステムが出来上がっていました。
日本ではまずフィットネスクラブ自体が1970年に八田一郎氏が設立したスポーツ会館が草分けといわれ、1980年代から流行り出したフィットネスクラブではジム、スタジオレッスン、プールが「3種の神器」として扱われ、その時代が2000年代まで続きました。
その中で1990年台に入り1995年にゴールドジム一号店が日本に誕生し90年代後半にはこういった本格的なフィットネスクラブのもとパーソナルトレーニングが一般人にも少しずつ広がっていきました。
その頃までのトレーナーというとプロチームスポーツなどにコンディニングコーチ、トレーニングコーチとして契約する魚住廣信先生や野茂投手のコンディショニングコーチとして有名な立花龍司氏など現在ではレジェンド的なトレーナーを指していました。現在の形のジム内でのトレーニング指導がメインの活動になり出したのは90年代後半から2000年代にかけてで、当時から現在までパーソナルトレーナーとして活動されていらっしゃるトレーナーはかなりの実力者です。
実際に実力者のパーソナルトレーナーを探し出すのはかなりの困難です。例えばネット検索で「有名パーソナルトレーナー」などと検索してもこの業界の知るレジェンド級のトレーナーは誰一人出てきません。比較サイトやチェーン店、自己顕示欲の強いトレーナーが上がってくるのがオチです。何故ネットに上がってこないかはネットで集客しなくても良いですし、もっとコアなところの仕事に時間をかけたいからです。
2000年以降のパーソナルトレーニングの歴史
2000年にケビン山崎氏が清原和博氏のパーソナルトレーナーとして活動しマスコミを賑わした事でもパーソナルトレーニングの注目を集めました。ケビン山崎氏のトータルワークアウトや2010年前後にメディアなどで取り上げられた吉川メソッドは現在ライザップさんなどが行なっている糖質制限のはしりとなる指導を早くから行なっていました。
そして2000年代中盤から加圧トレーニングを用いたパーソナルトレーニングが一気に爆発します。スポーツ選手、富裕層以外で一般人にもマンツーマンでトレーニングを行なうという形を日本に浸透させた最初のケースといえるでしょう。
藤原紀香さん、杉本彩さんなどTVで発信して頂ける事によりかなり世間へ浸透しました。
大きく変化を遂げるのが2014年
ライザップのCMで爆発的にパーソナルトレーニングが世間に認知され大流行の時代へと傾きます。そのライザップCMに便乗し次々と大手パーソナルジムが開業、その中でパーソナルトレーナー量産という時代に入っているのが現在です。
日本では長らくフィットネスクラブが一般人のトレーニングを引っ張ってきましたがコロナ禍の影響もあり2020年代に入り3種の神器を持たない24時間ジム、パーソナルトレーニングジムやヨガなどのスタジオ、FEELCYCLE、クロスフィットなど多様化した時代へと突入しました。
資格を持たないトレーナーが数多く増えましたがNSCAやACSM、アスレチックトレーナー、健康運動指導士などの資格を持つトレーナーを選ぶ事も量産系トレーナーの中からまともなトレーナーを選ぶ一つの目安となるでしょう。「〇〇ジム認定トレーナー」などはほぼ何の意味も持ちません。
様々な視点から見るパーソナルトレーニングの歴史
最近の相場となりますとパーソナルトレーニングジムなどにより様々ですが1時間あたり6,000円〜8,000円というところが一般的な価格ではないでしょうか。東京や一部のブランディング力の高いパーソナルトレーニングジムでは10,000円を超えるパーソナルトレーニングジムも珍しくはないです。
僕がパーソナルトレーナーとして独立した2000年代後半は5,000円〜6,000円が相場で当時1時間6,000円のトレーナーはベテランで実績を持ったトレーナーさんでした。
それ以前の2000年前後の一般にパーソナルトレーナーが浸透していない時期では2,000円〜3,000円くらいでとにかく指導を受けて頂いて良さを実感して頂きたいという時期もありました。
トレーナーの質の移り変わり
ここはライザップさんのCM出現後一気に変わりました。各ジムの厳格だったパーソナルトレーナー採用の基準も下がり簡素化し、トレーナーとして活動するのに必須だったNSCAなどの資格も必須から「持ってる方が良いんじゃない?」程度に変化し、パーソナルトレーニングの中身自体も大手パーソナルトレーニングジムは雛形になり一般的にはわかりやすいものへと変化していきました。
またライザップさんのCM以外にも日本のボディ系コンテストがボディビル一本の時代から2010年代前半に入ってきたフィジークやベストボディジャパンなどのカッコいい体系のコンテストも増え、それに付随しコンテストで名を上げた人がトレーナーとして自身のトレーニング方法を提供するというスタイルも増えてきました。職人色の強いトレーナーからトレンディなトレーナーへと変化もしてきています。
パーソナルトレーニングジムの内容の移り変わり
2000年代後半までは大手フィットネスクラブなどと業務委託契約を交わしフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動されるトレーナーの割合が多く2010年前後あたりからフリーランスだけではなくジムスタッフによるパーソナルトレーニングも盛んになってきました。
そういった経緯からフリーランスのパーソナルトレーナーが独立してジムを持つ流れが増え、当時はエステやネイルサロンのようにマンションの一室でパーソナルトレーニングを行なうという独立トレーナーも多くいました。
ライザップさんを筆頭とする大手パーソナルトレーニングジムの出現からは独立トレーナーもフリーウエイトやマシンなどを取り揃える店舗型パーソナルトレーニングジムが主流になってきました。
パーソナルトレーニングジムは何故世間から選ばれたか
上述のように2014年のライザップさんによるCMが大流行のきっかけとなりますが全く効果のないものでしたら世間から一瞬で消えてしまいます。ここでは上記の移り変わりの中でパーソナルトレーニングが徐々に流行ったわけをご紹介させて頂きます。
トレーニングをサポートしてくれる事
トレーニング効果を高めるのに重要なトレーニングプログラム。一般人では意外と管理出来ていない場合が多いのでないでしょうか。種目の選択、負荷の設定と漸進、トレーニングボリューム、レストタイム、次回トレーニングまでの間隔などパーソナルトレーニングは通常細かく調整しながら進めてくれます。そして自身がトレーニングを通じて気付かなかった事、気付けなかった事に気付いてくれてそれを修正できる事も大きい要因です。
期待された効果がトレーニングによって得られないと継続はしにくいですが、きっちりサポートもらえる事によってトレーニング自体の効果をはっきりと感じ取れ継続して行えるようになります。
トレーナーやパーソナルトレーニングジムのタイプによりますが食事面もしっかりサポートしてもらえるのでその点でも効果を感じやすくなります。
モチベーションをキープし継続しやすい事
トレーニングは継続して行なうことが大前提となります一日や二日強力なトレーニングを行なっても筋肉は大きな変化を起こしません。予約制が殆どであるパーソナルトレーニングでは週に数回のトレーニングの時間を確保でき、それが継続に繋がり一人ではサボってしまっていたというトレーニングも継続して行なう事が可能です。意志の強いひとは自分一人でも継続できるのですがトレーニングのように楽ではなく、しんどい辛い行為はどうしても後回しにしがちになります。パーソナルトレーニングではそのしんどい辛い先に理想の自分が待っている事を丁寧にわかりやすく説明してもらえます。ただしんどい事をするのではなく自身が向上する、大きく変化する為なら頑張れますよね!パーソナルトレーニングはそういったモチベーションを管理しやすい事も特徴となります。
結果が出やすくなる事
トレーニングの管理→モチベーションを保ち継続→結果が出やすくなるという流れに繋がります。パーソナルトレーニングが世間から選ばれた理由はやはり「結果を出す」という事でしょう。
そしてそんなパーソナルトレーニングのこの先の見解をトレーニング歴30年、パーソナルトレーナーとしてら独立してから15年になる私が述べさせて頂きます!
パーソナルトレーニングのこの先
パーソナルトレーニングの流行はライザップさんのCMから数えても10年も満たしません。そして流行りは必ず廃りがきます。永遠に流行るものは流行とは呼びません。
しっかり世間に認知されたパーソナルトレーニングですが今後はある程度の需要で落ち着き淘汰されるパーソナルトレーナー、パーソナルトレーニングジムが増え一定の数で落ち着く事でしょう。
フィットネス業界の流れは早くこの記事を読んでも5〜10年程で大きく変化しているのがわかります。ただ良いもの、強いものは残り中途半端なものは淘汰されます。
今後はフィットネスクラブのコンビニ化で24時間フィットネスクラブが乱立しだした様にパーソナルトレーニングジムも価格破壊と同時に手軽に気軽にいけるコンビニ化していく事が予想されます。
そうなると既存のパーソナルトレーニングジムは自ずと潰し合いになり同様にコンビニ化していくか、余程の指導力、カリスマ性、ブランディング力がない限り価格帯の維持は出来ず淘汰されていくでしょう。
僕個人の予想ではあと5年前後でクイックマッサージ系の価格帯と同程度(1時間3,000〜4,000円)のコンビニ化パーソナルトレーニングジムがポコポコ出来始めてもおかしくないと読んでいます。
現に10年程前は自身をどのように変えたいのか、どう鍛えたいのか、がパーソナルトレーニングを受けるうえで最重要視されていましたが、最近では手軽(金額面、駅近)に受けられる事の比重がかなり増えています。
その中でどういったところが生き残るか非常に見ものですね。
他業種でも僕の幼い頃はタバコ屋、お米屋、酒屋などがありましたが大型スーパーに淘汰され、お寿司屋さんは回転寿司の波にさらわれ街のパチンコ屋さんもマルハンなどの大企業に牛耳られてしまいました。
パーソナルトレーニング業界もいつそうなってもおかしくはないです。
加圧&ボディメイクスタジオKも大企業などの資金力に任せた波にさらわれないよう信頼と実績で今後も生き残ります!
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執筆者紹介 |
執筆者情報:「執筆者不明」の記事が多いインターネットの世界ですが、真実を伝える事を重要視する加圧&ボディメイクスタジオKは、執筆者の情報も明確にしています。 この記事は、下記紹介の勝村憲治が作成しております。 情報の扱いが曖昧なサイトが非常に多く、無責任な内容も多々見受けられます(あくまで私見となります) 。情報を発信する側にしても受け取る側にしても正確な内容か、その記事は信頼できるか、そのような点もパーソナルトレーニングジム選びの参考になさってください。 当サイトはSSL(https://~)の導入による情報の暗号化、執筆者情報公開などの体制を整え、常に読者やクライアント目線での情報を提供しております。勝村憲治(カツムラケンジ) その後2014年より南海難波駅徒歩1分の立地にて当施設「加圧&ボディメイクスタジオK」を運営。 運動初心者から機能的なトレーニングまで幅広く行い食生活やメンタルサポートなども得意とする。 ◆保有資格 ◆コンテスト等 ◆2018,2020,スカイオーシャンモデル |